【患者の権利を守る医療 その4】
日本における患者の期待の方向性
患者中心の歯科医療シリーズ予告
特定非営利活動法人 明日の歯科医療を創る会POS
歯科医療ネットワーク メールマガジン 2005.04.19号
患者中心の歯科医療を展開するにあたり、その医療の受給者である患者はどのような期待を持っているのでしょうか。
これまでのシリーズの内容を踏まえ、単に虫歯を治すという表面的な期待ではなく、患者個々が人生に対する価値観や、生活の水準をどのように維持していきたいと思っているかということにより、この期待は変化すると考えられるでしょう。
例えば、発展途上国で飢えや貧困な生活があったとすれば、欲求水準は低いのが当然です。しかし、基本的な生活水準が確保され、自分らしい豊かな生活を実現していこうという先進国の生活においては、j価値の多様化とあわせて欲求水準が高くなっている事が認められるということです。
マズローは欲求の段階説の中で、その欲求は階層化されており、下位の欲求が満たされなければ上位の欲求は発生しないと提唱していますが、日本人はその下位の欲求が満たされた人が多く存在するといえるということです。
では、具体的に日本人はどのような欲求水準なのでしょうか。
日本は国際的に見ても裕福な国であり、一定の経済的成功を収めているjといえます。つまりマズローの提唱する生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求、自尊欲求の水準を越え、自己実現の欲求レベルに達成しているといえるのです。
自己実現の欲求レベルであるとすれば、お口の状態に対して『いつまでも美味しく』、『きれいな口元で若々しく』、『何でも食べられる状態』である事が大切となります。
すなわち、生涯にわたり自分の歯が使い続けられることこそが、現在の日本人において求められる欲求といえるのです。