特定非営利活動法人 明日の歯科医療を創る会POS
歯科医療ネットワーク メールマガジン
患者中心の歯科医療
【医療システム変換のキーワード】 
〜歯科医療契約〜

私達歯科医師は、患者からの依頼を受けて医療を行ないますが、これはどのような意味をもつ契約行為であるのかを理解しておくことは、医療を行なう上での基本的な要件です。
元来契約には、結果を保証する「請負契約」と、結果保証はないが一定の結果を求める過程において最善を尽くすことを保障する「委任契約」があります。

「請負契約」と「委任契約」

「請負契約」
代表的なものは建設業に関わる契約などです。
この契約では、設計や工程などにより具体化された内容が、契約完了時あるいはその後の保障期間における約束事として予め取り交わされます。契約を引き受けた請負側は、約束どおりの結果を提供する責任を負います。

「委任契約」
代表的なものは弁護士とクライアントが取り交わす契約などです。
裁判や交渉代理行為においてクライアントが期待する結果を導き出すように最善を尽くすことが約束されます。ただしこの契約は結果を約束するというものではありません。実際の裁判での勝利は保障できないからです。

さて、医療の場合はこのような契約の種類と照らし合わせ、これは「委任契約に準委任契約」であると法律上の定義がなされています。
これは「委任契約に準ずるもの」という解釈です。例えば胃がんの患者があり、その治療において外科手術を選択したとしましょう。必ず治しますという約束はできません。「エビデンスに基づき治すために最善を尽くします」というのがこの契約における約束事となります。

医療契約に例外はありませんから、その医療行為が保険制度に基づくものであったとしても、自由診療であったとしても同じであり、医療契約が医療者と患者の間に交わされた時点から、医療者はその医療者が考える最善を尽くすことが契約履行の条件となるのです。
  

特定非営利活動法人 明日の歯科医療を創る会POS
歯科医療ネットワーク メールマガジン
2005.10.20