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歯科医療の変遷と歯科医療のマーケットV〜歯科医療の第三世代〜

【歯科医療の第三世代】
歯科医療が失われた機能の修復を目標とし続けるのであれば、それはほぼ完成したものといえます。
しかし、人々がより豊かになり、そのことによる自己実現の欲求がより高いものとなってきた今日においては、口腔内とそれを扱う歯科医療サービスへの期待は変化しています。
「歯を削って欲しい」「入れ歯でもいい」という人は、だれ一人としていません。その期待は、「できるだけ健康な状態で歯を使い続けたい」という願望に基づいた、歯の修復を望まない方向へ変化してきています。
今までは、歯が悪くなるのは仕方のないことで、結果として、年齢が進めば入れ歯になるのはやむを得ないと考えていました。これが、できれば入れ歯を入れたくない、歯にもむし歯や歯周病といった問題が発生することなく、健康な状態で生涯にわたり使い続けたいという期待へと変化してきたという事です。
このように変化した期待に応えることがこれからの医療者の目指す医療サービスの変革の方向性であり、この時代こそが歯科医療の第三世代といえるのです。

この新しい世代で重要となるのは、「健康−予防」の概念です。成人前の人に提供される医療サービスは、健康な口腔を育成するというサービスであり、成人して口腔内環境が完成した人に提供される医療サービスは病気の発生を予防し、健康な状態を維持・増進していくサービスです。
さらに質の高い口腔の健康を獲得するという観点からは、より美しくあることや若々しさを維持していくことも、患者さんの期待として発生します。今後は、このような
期待に対応していく医療サービスシステムの構築も、より一層求められるであろうと考えられます。



《歯科医療サービスのマーケット》
第一世代 痛みのある人  ⇒  応急処置
第二世代 病気を持った人  ⇒  治療
第三世代 病気のない人        ⇒  健康維持
病気をもっと人       ⇒  治療  ⇒  健康維持
病気に気づいてない人  ⇒  健康維持  ⇒  治療
健康の質を高めたい人  ⇒  健康増進

では、第三世代を迎えた歯科医療の状況は、どのようになっていくのでしょう。
実際には、歯科医療サービスのマーケット、すなわち顧客である患者さんのカテゴリーが変化していきます。歯科医療の第2世代までは病気など口腔内に何らかのトラブルや問題をもっていた人がサービスの対象者でした。しかし、
第三世代になると、歯科医療サービスのコンテンツが健康の維持・増進やより高い健康の質へのこだわりをサポートするものとして広がります。
具体的にいうと、その対象者は、病気はないがその状態を維持したい人、問題を持ってはいるがそれに気づいていない人、より美しくなりたいと言った審美的な要素を含む健康の質を高めたい人も含めて広がります。

歯科医師過剰の時代を迎え、歯科医療を変革し、新たなマーケットを開拓する事は、歯科医師が医療者として生きていくための大きなポイントなのです

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歯科医療ネットワーク  メールマガジン2006.5.23