特定非営利活動法人 明日の歯科医療を創る会POS
歯科医療ネットワーク メールマガジン
患者中心の歯科医療
【歯科医師が抱く不安への具体的な対処法】 
歯科医療変革のキーワード
患者さんの期待に添った医療〜患者さんの真の期待を知る〜
【日本における患者さんの期待の方向性】
患者中心の歯科医療を展開するに当たっては、その医療の受給者である患者さんはどのような期待を抱いているのかきちんと把握する事が重要です。
それは、単に虫歯を治すという表面的な期待ではなく、患者さん個々が人生に対する価値観や生活の水準をどのように維持していきたいと願っているかによって、この期待は変化するからです。
たとえは、発展途上国で上や貧困な生活を送っているとすれば欲求水準は低いのが当然です。しかし、基本的な生活水準が確保され、自分らしい豊かな生活を実現していこうという先進国の生活においては、価値観の多様化とあわせて欲求水準が高くなっている事が認められます。
マズローは「欲求の段階説」のなかで、人間の欲求は階層化されており、会の欲求が満たされなければ上位の欲求は発生しないと提唱しています。



では、具体的に日本人は、どのような欲求水準にあるのでしょうか?日本は国際的にみても裕福な国であり、一定の経済的成功を収めています。多くの日本人がマズローのていしょうする、生理的欲求・安全の欲求・社会的欲求・自尊欲求を満たし、自己実現の欲求レベルに到達しているといえます。たとえば、産業界では国内最大手のトヨタ自動車が2005年夏に新たな高級車ブランドを立ち上げました。高級車として名高い欧州のメルセデスやBMWを意識した戦略です。興味深いのは、このブランドが揃える商品群の平均価格が500万円を超えるにも拘らず、日本のユーザーの20%がマーケットになると考えている点です。日本人は豊かになり、単に自動車を移動の道具と考えるのではなく所有することに喜びやステータスなどの価値を見出し、より高い次元での自己実現を目指すようになったという評価がここにはあります。この例のように
日本人がマズローの言う所の自己実現の欲求レベルであるとすれば、口腔の状態に対してどのような欲求を持っているか考えてみるとどうでしょう。いつまでもおいしく、きれいな口元で若々しく、さらに何でも食べられる状態を望む事は用意に推察できます。年齢と共に歯がなくなる、入れ歯になるのはやむをえないと考えるのではなく、生涯にわたり自分の歯を使い続けたいと考える事こそが現在の日本人の多くが求める欲求といえます。

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歯科医療ネットワーク  メールマガジン2006.9.16