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砂糖は甘い魅力で私たちをひきつけ,結局砂糖を摂り過ぎているのです。それは単に個人の嗜好の問題ではなく,グローバル化した経済や政治そして豊かになりたいと努力してきた私たちの生活観,生活習慣に深く根ざしています。歯科の視点で,加糖飲料の増加で思い浮かぶのは虫歯です。先進国はフッ素で虫歯を抑制できたといわれています。しかしフッ素は砂糖の食べすぎの害そのものを消したのではないというDr.Paula Moynihan(栄養と口腔保健に関するWHO協力センター所長・英国)の指摘は重要です。砂糖との付き合い方がこれからの歯科の課題であるのです。 虫歯もできず,それが体の健康に結びつくためには,食のコントロールは避けて通れません。むしろ虫歯予防が体の健康に結びつく,そのような歯科からの食を通した保健指導が求められます。 健康のためとは錦の御旗ですが,現実には政治や経済のしがらみで左右されています。我々が口にする甘いものもこの現実と無縁ではありません。「美味しさ」に惑わされない知恵が必要なのです。
『“食育”は歯科医療を変える』クインテッセンス出版株式会社 丸森英史 より
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